父の死と回想
2021年4月6日、あおぞら不動産の生みの親でもあり、育ての親でもある父(会長)が73歳で天国へ旅立ちました。
過去を振り返ると、8年前に僕が会社に入った20歳の時、父は65歳でした。
父は元々、65歳で引退するつもりでいたみたいでしたし、色々と頭で考えるのが面倒になる歳。
僕は僕で何も知らないくせに自信だけはあって、よくケンカ売っていたので、最悪な組み合わせだったと思います(笑)
時には会社を辞めるといって外に飛び出したり、はやく引退してしまえと思ったりしたこともありましたが、
ケンカはすれど、歩みたい道は同じだったので何とか一緒にやって来れました。
そして今から約6年前、ついに折れた父は僕に全てを任せることを決意します。
未熟な僕に全てを任せる心境は28歳になった今だからこそわかりますが、
相当な器量がないと出来ない物凄くおっとこ前な決断だったように思います。
結果、僕はのびのびした環境で仕事させて頂くことが出来ましたし、父は事あるごとに僕の仕事をチェックしてくれていましたし、僕からも確認の要請を出したりと、お互いに程よい距離感で仕事できていたように思います。
4年前には兄の入社、父が社長から会長に就任し、完全にあおぞら不動産の新しいスタンスが定まって来ました。
今では7960名のフォロワーを抱えるInstagramを始めたのもその頃です。
2020年には、会社と僕個人のyoutubeがプチバズり、どちらも登録者が8000名を超えました。
おかげさまで住宅系No.1のYoutuberであるラクジュの本橋さんとも出会うことが出来ました。
父はその点に疎いので、報告しても何ら凄さを分かってもらえなかったのが悔しかったですが、決算報告書だけはしっかり確認していたようで、引退してから5年も変わらず業績を安定させてきたので、少しはホッとしてあの世に送り出すことが出来たのではないのでしょうか。
ここ2,3年は父の体調は安定しており、もしかして、このまま死なないんじゃないかと思うようになりました。
そこから、最後の親孝行をサボり始めていたような気がします。
コロナ禍であることもあり、2020年と2021年はあまり顔を合わせませんでした。
今年に入ってから、急激に体が衰え、3月には食事も入らなくなりました。
4/5の朝に1ヶ月ぶりに会ったときにはすでに虫の息でした。
ただただ呼吸をして生きるのに精いっぱいの父の姿がありました。
目を開けることができず、水を飲み込む力もない。
「水いると?」と聞くと、「あ~」とか、「う~」とか返事をしていたので、
意識はあるんだと分かりました。
水を飲むにも飲み込む力がないので、スポンジに水を含ませて唇とベロに付ける程度でした。
実は去年の末に義理の父を亡くしたばかりでしたので、この時の父の状況を見て、
最後がかなり近づいていることを悟りました。一週間はもたないと思いました。
その日の夜、何かしてあげられることはないかな?と思い、父が好きな曲を母に教えてもらい、携帯で流しました。
舟木一夫さんの「高校三年生」、チェッカーズの「ギザギザハートの子守唄」など4曲を流しました。
声での反応はありませんでしたが、手を胸のあたりでたくさん動かしていたのを覚えています。
最後に、「じゃ、帰るけんね」というと、「うぅ~」と反応がありました。
未だに、父はあの時なんて言いたかったのだろう。と考えることがあります。
亡くなる2ヶ月前に、実家に寄って、たまにはと思い父と一緒に夕食を食べました。
この時にはまだまだ1年は生きるものと思っていたので、恥ずかしくて、
何にも話せず終いでした。父の思い出話も聞きたかったし、僕という人間についての評価も聞きたかったし、
感謝の言葉も伝えたかったですが、何一つ話せませんでした。
気付けば、虫の息です。
葬儀が行われる前日は河浪家みんなで葬儀会場に泊まったのですが、棺に入っている父と最後の晩酌を二人でしました。
いつも1杯で気持ちよく寝れるほど酒は弱いのですが、この日は3杯も飲みました。
もっと生きてるうちに、一緒に飲みたかった。
最悪なことに、葬儀の日と息子の小学校の入学式が被りました。うまいこと時間は調整してくれて、午前が入学式、午後が葬儀と火葬でした。
頭が追い付かない変な一日でした。
カメラが趣味の僕ですが、父の癌が発覚してからと言うもの、中々、父にカメラを向けてシャッターを切れずにいました。
それは、そろそろ死ぬから撮るんやろ?と思われるのが嫌だったからです。
癌を宣告された身近な家族には、その殻を破ることが必要だなと強く感じました。
この画像はカメラを買ってすぐの写真です。相当テンションが上がっていたので、何も考え無しに真正面から撮れた貴重な一枚です。
渋い俳優さんのようで好きな画像です。
癌で死ぬのはラッキーだ。
なんていうと怒られそうですが…
この記事をもって皆さんに少しでも伝えたいことは、癌で死ぬのはまだまだラッキーな方だということです。
(ただ、若くで癌宣告された方に関しては経験がないですが想像を絶するショックなのだろうと推察します。。。)
親や家族など大事な人が癌になってこの記事を見ている方がもしいらっしゃるなら、もうアホになって、楽観的に捉えるしかありません。
交通事故で死んだら、さよならを言う暇も時間もありません。
癌は、病状や種類によりますが、最低でも思いを伝えるくらいの時間は残されています。
癌については医者でもないし何とも言えませんが、そもそもほぼ完治する人だって数多くいます。
癌は現代医学においては、“不治の病”ではなくなっていますね。
入院でなく、通院で済んじゃいますし、抗がん剤が体に適合すれば
通院で治っちゃう病なんです。
高齢者の二人に一人が「癌」で死ぬと言われますが…
今回の父の件を通して、将来、自分が癌で死ぬのも悪くないなと。
もちろん、寿命がベストですが(笑)
少なくとも、父の場合は73年間、特に若いころはたくさん遊んできたと聞いているので、後悔はないでしょう。
死ぬ間際には6人の孫にも囲まれ、これほど幸せな最期はないなと感じました。
癌のおかげで、事業継承も上手くいきました。癌じゃなかったら、なあなあになっていたに違いありません。
最後に
今後も、父が残してくれた「あおぞら不動産」に関わって頂ける方全てに少しでも多くの幸せが届けられるように精進してまいります。
その中でたくさん稼いで幸せな生活を送ることが、父への一番の親孝行ではないのかと。今はそう思います。
父が引退して5年は経っておりますので、仕事の方の影響は一切ございませんので、ご理解、ご安心のほどよろしくお願い致します
というわけで、文字での火葬がこれにて完了しました。
長々と失礼しました。
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河浪 宇宙(Uchu Kawanami)
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