APW430 大開口スライディングが寒い?冷気問題を解決して快適空間へ│排水弁を塞ぐDIY

2023/1/11 更新

長崎県西彼杵郡時津町にある不動産屋さんのあおぞら不動産で住宅の基本設計と現場管理などの工務をやっています。

ウチュウブログの管理人、河浪宇宙です。

2022年も、もう2月ですね。今年もあっという間に終わるんだろうなぁと思います…

今日はちょっとニッチな話題で。

YKKAP APW430シリーズの中にある 大開口スライディングの冷気問題についてです。

YKKAP APW430シリーズ 「大開口スライディング」

我が家では、リビングの南面にYKKAPさんの大開口スライディング(幅2600、高さ2030mm)を採用しています。

この窓の特徴として…

  • 解放感
  • 引き違い戸に比べてカッコいい
  • 特別な構造による戸の開閉の軽さ
  • 特別な構造による高い気密性能

大体この4つが挙げられます。(今回はこの商品の紹介は省きますが…)

確かにこの窓、気密性は高いんです。

なのに、12月、1月…

「大開口スライディングの近くだけ寒い!!!」

寒いとはいえ、長崎だと寒くても外気温0℃とかですが、

これは言い過ぎかもですが、

「昔住んでた築40年の昭和の家のシングルガラスの窓近くにいるときの1/2くらいの冷気が!!」

イメージ、こんな感じです。。。

高性能なトリプルガラスで、アルミに比べて約1000分の1も熱を通しにくいオール樹脂サッシなのに?

家の中が暖かいだけに、とても冷気が不快に感じていました。

構造的にこのレール部分から少しばかりの冷気が来るのがわかるんですが…

向かって右下からも…

向かって左下からも来とる…

とか思ってた2020年の12月、2021年の1月ごろ…

ツイッターで仲良くさせて頂いている しんば@家づくりブログ さんのツイートを見て

一緒だ!!と衝撃が走りました。

しんばさんのブログ記事は こちら

どうやら、同じく大開口スライディングをご採用のしんばさんも冷気に悩まされているそうで、

サッシ枠温度は-0.3℃!!

これは、さすがの樹脂サッシでも結露しちゃいますね…

というわけで、メーカーさんに来ていただいて見てもらうと、、、

不測の事態で結露が起きた時に結露水を排水するための穴が空いている

とのことでした。

はは~ん。そういうことだったんですね。

年間10棟以上の気密検査に立ち会っている僕ですが、

例えばC値が1.2だと、色んな箇所に隙間があることが多いので

一つの隙間からの漏気って感じにくい(探しにくい)んです。

しかし、C値0.1の漏気って、すぐにわかります。

ティッシュをあてると、かなりの勢いで風がきているのが分かるんですね。

C値0.1なのに!?って思うんですけど…

隙間が少ないが故に、漏気箇所一つ一つからの漏気が強いんですね。

C値0.1の我が家の場合、この排水穴のような小さな穴でも漏気があると、家が暖かいのもあって、かなり敏感に冷気を感じ取ってしまい、不快になっちゃうんですね~。

DIYで排水穴を塞いで冷気をシャットアウト

先程書いた通り、2021年の1月には冷気問題の大元がしんばさんのおかげで分かっていたんですが、めんどくさいと思っているとあっという間に春が来まして…

1年後の2022年2月、やっと冷気に耐えかねて、工事をすることに。

メーカーさんを呼んでどうこうっていうのも面倒なので、とりあえず自分でやってみました。施主の皆さんは工務店、住宅会社さんにお金を払って排水穴を塞ぐと良いと思います。(メーカーは保証外になるのでやらないと思います。工務店さんもやらないかもw)

※もし本ブログを見て、ご自分で排水穴を防ぐ場合は自己責任でお願いします。

↑※2023年1月11日の追記
台風時期にレールぎりぎり一杯まで冠水しました。
自宅の大開口スライディングの外は外壁から軒先まで1.4m程度、庇が出ているんですが、それでも全然入って来ちゃいました。

よって、夏時期は冷気問題がないので排水穴はオープンにしました、、、

排水穴を塞ぐ場合は、1/3程度は排水できるようにオープンにしておいたほうがいいかもしれません。


排水穴は下枠に化粧カバーが付いていて、通常見えない部分にあります。

100均に売ってるドライバーセットを取り出します。

排水弁ってどこに何個あるの?

排水穴は室外側から見て向かって、左側に2個。

真ん中ちょっと右に2個(こいつが厄介)

向かって右端に2個あります。

まずは向かって左側の排水穴を塞ぎます。

先が細いピンドライバーを使って

テコの原理を使って頑張って外すことも可能ですが

後で気付いたのですが、真ん中にあるこの子の丸のゴムカバーを剥がすと

ビスが見えてきますので、プラスドライバーで取り外しましょう!

この部分がガッツリ取れるので、横から手で簡単に外すことが出来ます。
(※画像は全てのカバーを取り外した状態です)

僕は脳筋なので、細いピンドライバーを差し込んでクイクイしまくって、

なんとか取り外しに成功しました。

そうすると、端っこに排水穴を発見。

(※ちなみに、カバーを外すと工事中のゴミが盛りだくさんでした。掃除機必須です。)

手を当ててみると、カバーが付いてた時と同じ感覚の冷気が!

間違いなく、この子が犯人です。

コーキングで塞ぐか、気密テープで塞ぐか考えましたが、

丁度家に気密テープがあったので、これで塞ぐことにします。

ここに関してはペタペタ張るだけなので、超簡単でした。

次に向かって右側の排水穴を塞ぎます。

上記の画像は下枠カバーの構成図です。

今、Aちゃんを外して、赤とピンクの下枠化粧カバーを外しましたね。

真ん中から右側のカバーは外側のものだけ1ライン、途中(B)で分断されているので、

Bちゃんをとってあげます。

すると、Aの時の同じように凹みますので、これで簡単に外せる…かと思いきや。

一番濃ゆい緑のカバーって、引き戸に乗っているので思うように外せません。

引き戸を外してすれば良いでしょうが、トリプルガラスだけあって、重いです。

サッシ屋さんでさえ3人がかりで運んでいたのを工事中に見ているので、外すのはムリムリ。

てなわけで、まずはBの継ぎ目から左側に押して…

左側に回って、左側にカバーを引っ張り出して救出(取り外し)出来ました。

注意ですが、一番薄い緑のカバーの部分は排水穴がないので、

取り外す必要はありません(僕はよくわかってなくて取り外しちゃいました。)

カバーを外すと、やっぱりありました!

左側の穴の大きいバージョンのやつが2つも!!

きれいに掃除して、塞ぎました^^!

真ん中ちょい右の引き戸下の排水穴を塞ぎます。

この子が一番厄介です。

左端、右端の排水穴はどちらもカバーを外すと見える部分にありましたが、

この子は引き戸の下にあります…!

どうやってテープを張るかというと

気密テープを細切れに切って、繋げます。

なんとか入れ込んで。。。

なんとか入れ込んで。。。

入ったと思ったら、マイナスドライバーなどをぶち込んで、鬼のように密着させましょう。(なんという原始的な!)

もっといいやり方があるよ!という理系の方がいらっしゃったら教えてください。

最後に、濃ゆい緑の下枠化粧カバーを戻すのも一苦労です。

こちら、普通に左側から差し込んで、右に力づくで入れ込んでも、引き戸の下端にあたって入っていきません。

誰かに手伝ってもらって、引き戸を上に少しだけ上げている間に濃ゆい緑の下枠カバーを右側に押し込んでもらいましょう。

引き戸がカバーに少しでも乗ると、あとはカバーを右側に少しずつ押し込んでいくだけで元通りになります。

排水穴を塞ぐDIYを終えて、冷気は?

BeforeAfterのサーモグラフィーを撮ってないので体感でしかありませんが…

不快な冷気が80%以上低減されたような感覚です。

今まで本当に窓際に近寄りたくないくらい、冷気を感じていたので、かなりの違いです。

またまたしんばさんのツイートを参照させて頂きますが、

しんばさんによると、元々-0.3℃だったサッシ樹脂枠の温度が排水穴を塞ぐ工事後に15.6℃まで上昇しています。

最後に

最初にも書きましたが、今回の工事をDIYで行う場合は自己責任でお願いします。

外気温がそこまで下がらない九州などの温暖地においては、樹脂サッシだと結露する確率は低いので、排水穴は塞いじゃっても良いのかなぁと思います。

(※大雨や台風時には排水穴を塞いでおくと、レールに水が溜まる可能性があります。排水穴を1/3ほどオープンにしておくか、定期的な点検はしっかり行いましょう!)

それくらい、冷気が不快でした。

もしくは、化粧カバーを一部外した状態でも、生活に支障はなさそうだったので、

化粧カバーを外した状態で気密テープを張って、様子を見るのも良いかもしれません。

最後に、冷気問題を解決に導いてくれて、ツイートのシェアも快諾頂いたしんばさん、ありがとうございました^^

てなわけで、今回は以上です。


2023/2/21 進展ありました!

やっぱり2022年12月ごろから大開口スライディングまわりだけ寒さを感じるようになり、、、

いつもお世話になっているYKKAPの営業さんにヘルプコール。

というのも、台風時に排水穴を塞いでいたので、レールに水が溜まったことから、排水穴をオープンにしていたんですね。

すぐに見に来ていただいたのですが、出荷台数が少ない大開口スライディングなだけに、対応は難しそう。

そして、色々と考えてくださりまして、2023年の2月21日にたくさんの人を引き連れて対応して頂けました^^!

対策として考えて頂いた案が2つ。

一つ目は、エアタイトゴムの交換です。

サッシは多くの場合、この黒のエアタイトゴムで気密を取っている(漏気しないようにする)のですが、上の画像、みてください。隙間があるの分かりますか?

僅か1mm程度の隙間です。

大開口スライディングの場合、これが密着することで気密を取っています。

というわけで、このエアタイトゴムを1.5mm厚みの増したものに交換して頂きました。

※左が付け替えた新品の金具。右が元々の折れ曲がった金具です。

次に、2つめの対策。

こちらが本丸です。

こちら、障子側の下部に付いている、障子を引き寄せる金具です。

どのタイミングでかは分かりませんが、既存のものは一部折れ曲がってしまっていましたので、こちらを新品に交換。
※左が付け替えた新品の金具。右が元々の折れ曲がった金具です。

先程も書いたように、大開口スライディングは障子に付いているハンドルを回すことで、障子がエアタイトゴムに密着し、気密を取る仕組みになっています。

それが、先程の金具が曲がっていたことで悪さをし、うまく引き寄せられずに気密が取れず漏気が発生していた。と思われます!

こちらが、エアタイトゴムと引き寄せ金具を交換した後の状況です。

あきらかに、施工後(右)のエアタイトゴムと障子との隙間がなく、密着していることが分かりますね。

そして、改善前(2022年12月21日)と改善後(2023年2月20日)の違いをサーモグラフィー画像で比較してみました。

ちなみに、排水穴は全てOPENにしている状態です。
(水が溜まるのが怖くて、排水穴は常にOPENにすることにしました。)

みて分かる通り、かなり改善がみられます。

体感としても、APW330の掃き出し窓と同じ程度まで漏気が抑えられていると感じました。

どうしてもレール機構なので、気密が悪いのは仕方ないですね。

これだけの性能があれば、十分かな。

どちらにしろ、漏気によるコールドドラフトが怖い人は大開口スライディングは辞めてたほうがいいと思う。

ドア系のテラス窓にすれば、気密も取りやすいし、排水穴も外部側に付いてるので冷気が入ってくることもないのでおすすめ。

ではでは、以上!!!

大開口スライディングユーザーの検討を祈ります。


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河浪 宇宙(Uchu Kawanami)

河浪 宇宙(Uchu Kawanami)

あおぞら不動産の工務、設計、広報担当。 年間約12棟の新築住宅を建てている経験を皆様へ共有できたらと思います!

4 件のコメント

  • はじめまして。
    APW431の水抜き穴についてですが、水密性能を確保するために水をレール内部に貯める構造になっているようです。(取扱説明書に記載あり)
    事実、窓に水をかけて洗うとかなりレールに水が溜まります。その点も記載された上でご紹介なさると良いのではないかと思いました。

    窓をザブザブ洗うとかなりたっぷりと貯まりますので、水抜き穴を埋めることによる木の腐敗やカビ等リスクは一定数あるのではないかと考えました。
    ご検討よろしくお願いいたします。

    • ありがとうございます!
      自分も台風の際にレールに水がたまっちゃいまして、、、その点書き加えました!!

  • これは有用なブログ…!

    我が家もapw431の大開口スライディングを玄関と居間で使用しており、特に玄関の温度急減を懸念していました(工務店がすべての窓にピッタリのハニカムブラインドを設置しており隙間風は感じないものの、他の部屋に比べて温度下降が顕著)。なお、6地域・c値0.2、Ua値0.5です。

    早速本日実行してみました。が…やはり施工時ののゴミはありますねw
    我が家は新築一年目で初めての冬ですが、レールに少しの水があり、少しばかり既にカビが発生し始めていました。
    なるほど雨掛りがある部分であることもあり、さすがにすべての穴を塞ぐのは躊躇したため、真ん中の一穴を残してあとの穴塞ぎました。真ん中の施工面倒ですしね。

    これで様子を見てみようと思います。ありがとうございました。

    • ありがとうございます!

      他の高性能住宅に住まわれている施主仲間さんをみても、排水を考えて真ん中は開けっぱなしの方が多いですね!
      耐風などでレールに水がたまった場合は、それでも完全に排水されない可能性が高いです。(レールに水勾配がとられているわけではないので)

      そういった時期には要観察ですね!

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